吉本ばなな キッチン 感想 17

吉本ばななのデビュー作。私の中でスピリチュアルなイメージが強い作家さんだけど、「キッチン」「満月」はそうでもない。「ムーンライト・シャドウ」が一番それっぽいかな。 そして、孤独が人生の絶望と最も近いもの、紙一重のものなのではないかと私は思った。みかげが雄一郎、そして、えり子と出会うのとによって、家族になっていく。ここで私は、本当の家族とは何なのかについて考えさせられた。最初は、それぞれの孤独感からくる傷の舐め合いであって、寂しいから一緒にいる、そんな関係だと思っていたが、言葉を交わさずとも心を理解できる、そういうことで、本当の家族になっていく彼らが、少し羨ましく思えた。もしかしたら私は自分の家族と、家族でありながらも、本当の家族ではなかったかもしれないとも思った。 『キッチン』は吉本ばななが1987年に「海燕」に発表した短編小説であり、翌年にこれを表題作とした短編集が福武書店より刊行された。吉本 ばななの小説キッチンについてのあらすじや作品解説はもちろん、長文考察レビューや評価を閲覧できます。 それはきっと主人公たちがそうやって身の回りに起こる様々なことに対し真摯に向き合っているからなのだと思った。彼らがそうして小説の中で一生懸命丁寧に生きる姿を私に見せてくれたことで私も生きる上でのコツのようなものを教わったように感じる。それは小手先のテクニックなどではなく自分の心とものの見方次第なのだが、これがこれまで慣れ親しんだ自分の考え方との闘いとなるのでとても難しい。 1988年1月、刊行。吉本ばなな(よしもとばなな)処女作となる短編集『キッチン』。, 僕は吉本ばなな作品は『TUGUMI』から読み始めたのですが、本作『キッチン』でどっぷり魅力にハマった感じがします。, (なお、本記事内では短編集『キッチン』内の『キッチン』および『満月―—キッチン2』をまとめて『キッチン』とします), 登場人物はそれほど多くない上、名前も特徴的なので、混乱することなく読み進められると思います。, えり子さんが経営していたゲイバーの泣き虫従業員。男性だった頃は営業マンとして働いていた。, 祖母の死をきっかけに、祖母の行きつけの花屋でアルバイトをしていた田辺雄一に声をかけられ、雄一宅での奇妙な居候生活が始まる。, みかげは田辺家のキッチン脇のソファで眠るようになり、オカマバーを経営する母のえり子と雄一との不思議な生活にも少しずつ慣れていく。, そのおかげもあってか、みかげは少しずつ祖母の死を受け入れられるようになっていった。, みかげは大学を辞め、一人暮らしをしつつ、有名な料理研究家の助手として働きはじめた。, 家族でも、恋人でもない2人の関係が続く中、えり子の死から立ち直れない雄一は突然いなくなった。, 「本当にひとり立ちしたい人は、なにかを育てるといいのよね。子供とかさ、鉢植えとかね」(キッチン Kindle版位置No.586) by えり子さん, 仕事以外では、なにかに頼りにされたり、期待をされたり。自分が「やらなくてはいけない事」が昔から苦手で。, 「”大人”にはならないようにする」事を心がけている僕からすると、これは経験からしても正しい言葉だなあと実感しています。, 幸福とは、自分が実はひとりだということを、なるべく感じなくていい人生だ(満月―—キッチン2 位置No.825) by みかげ, これは、海外で一人住んでいる僕からすると、けっこう身に染みて考えさせられる言葉でした。, どこかうまくいかない時、ふとした時、自分が一人である事を意識してしまうと、すごく寂しい気分になる事があります。, 「いやなことがめぐってくる率は決して、変わんない。自分では決められない。だから他の事はきっぱりと、むちゃくちゃ明るくしたほうがいい」(満月―—キッチン2 位置No.1176) by えり子さん, 高尚な理想を掲げてそれにまい進するのは素敵ですが、それで自分が辛くなっていたら元も子もないなと。, たとえ自分が力を持て余していたとしても、それをもったいないと思わなくてもいいのかなと。, 自分が一番楽しめるように生きる事が、社会にとってもいいのかなと思うようになりました。, その際にまっさきに感じたのが、清涼感と幻想感が両立した世界観と目に浮かぶ情景描写のすばらしさでした。, 本作でも、清涼感がただよう事は変わりませんが、「TUGUMI」よりは現実によっている内容。, 小説は芸術であると同時に娯楽の一つですから、当たり前ですが面白さがなくてはいけません。, 本項タイトルの通り、ばななさんの作品では「ありそうでなかなか無い」事が散りばめられていて、このバランスが面白さを引き出しています。, 30代以上の方は若かった頃を懐かしく感じるでしょうし、それ以下の方はある意味で新鮮な気持ちで読み進める事ができるでしょう。, 31歳で高校で携帯電話を使い始めた僕の場合、懐かしい一方で、つぐみと同い年位の時にはすでにケータイもネットもあったため、, 「こういう不便さのある時代の、ある意味で密で貴重な人の繋がりも味わってみたかった」, 『TUGUMI』『うたかた/サンクチュアリ』をはじめ、ばななさんの初期の作品は、どれもその時代のもの。, 「”繋がらない”が生む繋がり」を想像しつつ、読んでみるとより楽しめるのではと思います。, 理想主義的な言動で知られる彼の作品は、やはり人間の美しさを感じられる作品となっています。, 西アフリカのセネガルで宿「シェ山田」を運営しつつ、1日6時間・週5日のサーフィン生活満喫中|セネガルサーフツアー「セネサーフ」好評受付中|セネガル観光ラップで晋平太コラボ&TV出演も|著書『アフリカ旅行ガイドブック セネガル』|詳しいプロフィールはコチラ. 吉本ばななの「キッチン」は、生きていくことの難しさ、孤独、そして家族とは一体何なのかについて考えさせられる本であった。みかげは、祖母の死から絶望を感じ、孤独と向き合うことになり、「本当の孤独」というものを知ったのだと思う。 〇人にとって一番つらいであろう身近な人の死をどう乗り越えていくかが、掲載された3編の共通課題。 それを読み返してみようと思ったのは、30も過ぎてからのことだ。時々やってくる読書欲と軽く読めるものを多く読みたかったという簡単な理由で、ふとその中学生の時の印象を思い出し手に取った。振り返ってみればそれは選択を間違えているとしか言えないのだが、そんないきさつだったと思う。読み進めて行くうちに、すぐにそのことには気付いていた。だけれども、その時には目を離せなくなっていた。ここ数年間、心をくだいていた。モノ・ヒトをたくさん失った。失ったことによって起きた悲しいこともたくさんあった。その自分の抱えてしまった痛みや悲しみがふつふつと静かにわいてくるようだった。 食べものも光を出すだろう。食べると消えちゃうだろう?=101ページ= あの時はまったく知らなかった感情をいま、こんなにも抱えているんだ。吉本ばなな「キッチン」を初めて読んだのは中学生の時だった。母が買ってきてそれを借りて読んだのを覚えている。母は読みながらひどく泣き、心の奥まで痛いとそのとき言った。当時の私と言えば、まったく母の、というよりは今思えばこの作品の核心となるその感情を持ち合わせていなかった。だから中学生の私はただスルッと読み進めてそのまま深く心にとどまることはなく「読みやすかった」くらいの印象しか抱かなかった。 その傍で、押し付けがましくなく、そっと寄り添うような優しさが心に響く。 吉本ばななさんの『キッチン』の単行本が福武書店より刊行されたは1988年1月30日、30年前の今日でした。刊行30年を祝して、特設サイト“『キッチン』と私”をはじめます。あなたと『キッチン』の物語をぜひ、お聞かせいただけたら、うれしいです。 個人的にはその「ムーンライト・シャドウ」が一番良かった。   人に触れたいな、誰かをちゃんと好きでいたいなと思えた。, 一九六四年東京都生まれ。日本大学藝術学部文芸学科卒業。八七年「キッチン」で海燕新人文学賞を受賞しデビュー。八九年『キッチン』『うたかた/サンクチュアリ』で芸術選奨文部大臣新人賞、同年『TUGUMI』で山本周五郎賞、九五年『アムリタ』で紫式部文学賞、二〇〇〇年『不倫と南米』でドゥマゴ文学賞を受賞。著作は三十カ国以上で翻訳出版されており、海外での受賞も多数。noteにてメルマガ『どくだみちゃん と ふしばな』を配信中。   Be your friend.私の言葉はどこまであなたの孤独にとどくのだろう。第6回「海燕」新人文学賞受賞作。, 再読。前に読んだ時はなぜか無性にイライラした記憶があった(甘ったれんな!とか思った)けど、年を取った分?今回はしみた。時間が経つと印象ってこんなにも変わるものなんだ。前回はたくさん見落としていた描写が素直に心に入ってきた。           世界25カ国で翻訳され、読みつがれているベストセラー『キッチン』。泉鏡花賞を受賞した本作は、作者の吉本ばななが大学を卒業した年に書いたものです。, 『キッチン』は、1987年に文芸雑誌『海燕(かいえん)』(11月号)で発表された吉本ばななの短編小説です。吉本ばななが商業誌デビューした作品で、吉本ばななは『キッチン』で第6回海燕新人文学賞を受賞しました。, 祖母を無くして天涯孤独となった主人公が、知人の家での奇妙な生活を通して死を乗り越える様子が描かれています。1988年には、『キッチン』の続編となる『満月 キッチン2』が発表されました。, 『キッチン』は、1989年と1997年に映画化されています。1997年の方は「我愛厨房/Aggie et Louie」というタイトルで、日本・香港合同で制作されました。, 吉本ばななは、日本大学 芸術学部 文芸学科を卒業しており、卒業制作の『ムーンライト・シャドウ』で日大芸術学部長賞を受賞しました。『キッチン』が『海燕(かいえん)』という雑誌に掲載され、吉本ばななは商業誌デビューを果たしました。, 吉本ばななが在学中、ゼミを担当していた曾根博義さんは「吉本ばななの小説は、あらゆる点でこれまでの小説の文章の常識を超えている」と評価しています。, 作中では「死」が描かれることが多いですが、単に孤独や絶望を描くのではなく、人物がそれを乗り越えようとするエネルギーを持っているところが特徴です。父は批評家で詩人の吉本隆明で、姉は漫画家のハルノ宵子です。, みかげは両親を早くに亡くし、祖母と祖父と暮らしていました。しかし祖父もみかげが中学生の時に他界してしまったため、みかげは大学生になるまで祖母と生活をしていました。, ある日、ついに最後の肉親だった祖母もかえらぬ人となってしまい、みかげはそれを上手く消化できずにぼんやりと日々を過ごしていました。その後、みかげは祖母が通っていた花屋で働く雄一という青年に声をかけられ、雄一の家で暮らすことになります。, みかげを受け入れる雄一や、突然やって来たみかげをわが子のようにかわいがる雄一の親(トランスジェンダー)との暖かい交流を通し、みかげは祖母の死を徐々に乗り越えていきます。, タイトルの謎を一瞬で説いてくれる一文です。「いつか死ぬ時が来たら、台所で息絶えたい」という発言からも、みかげがいかに台所を愛しているかが分かります。, 主人公の女子大生。祖母と2人暮らしだったが、祖母が亡くなったためその知人の雄一の家に引き取られる。, みかげと同じ大学に通う大学生。みかげの祖母が通っていた花屋でアルバイトをしている。, 雄一の母親で、元父親。妻(雄一の母親)をがんで亡くした後、女性になってゲイバーを経営するようになった。, この先、吉本ばなな『キッチン』の内容を冒頭から結末まで解説しています。ネタバレを含んでいるためご注意ください。, みかげは、毎日台所で寝ていました。一緒に暮らしてきた祖母が亡くなり、みかげには身寄りがなくなってしまったからです。不安でどこにいても寝苦しく、冷蔵庫のわきにたどり着きました。, みかげは葬式が済んでも祖母の死をいまいち理解できず、新しい家を探すでもなくぼんやりと過ごしていました。, そんな時、救世主が現れます。1つ年下の田辺雄一という青年です。雄一は、みかげの祖母行きつけの花屋でアルバイトをしていて、祖母は雄一を孫のように可愛がっていました。そのため、雄一は祖母の葬式の手伝いをしてくれていたのです。, それだけの関係だったはずですが、彼は突然みかげを訪ねてきて、「家に来てください」と言いました。天涯孤独のみかげは、祖母が亡くなるまでただの知り合いだった雄一の家を訪ねることにしました。, 雄一の家に着くと、みかげは台所をチェックします。使い込まれた台所用品、品のいい食器、整理された冷蔵庫。みかげはそれらを見て、「この台所を愛せる」と思いました。, その時、ものすごい美人が家に飛び込んできました。普段使いしないような服や濃い化粧を見て、みかげは夜の仕事の人だと推測します。, 彼女は「雄一の母です。えり子と申します」と挨拶をしました。えり子は、みかげがもともとこの家の住人だったかのように、ごく自然にみかげを受け入れました。, その後、みかげは雄一にえり子のことを聞きました。えり子は、昔は男性だったというのです。えり子は雄一の父親で、雄一の母が亡くなった時に、仕事を辞めて女性になることを決意したのだと言います。, みかげは大学を休んで、雄一の家で食事を作ったり眠ったりして過ごしていました。それと並行して、祖母と住んだ家を正式に引き払う日を迎えます。最後に管理人に挨拶をしに家に行って、みかげはバスに乗って雄一の家に帰りました。, バスの中で、みかげはだだをこねる小さな女の子と優しげなおばあさんの会話を耳にします。そして突然、「自分は2度とそのような経験ができないのだ」という考えが浮かびました。, 気がつくと、みかげは涙をこぼしていました。悲しくないのに、止まらないのです。みかげはバスを降りて、声を上げて泣きました。祖母の死をようやく実感した瞬間です。, それから、みかげは大学を辞めて料理研究家のアシスタントになり、雄一の家を出ました。 アシスタントとしての生活に慣れてきたころ、みかげは「えり子さんが死んだ」と雄一から連絡を受けました。, 葬式はすでに終わっていました。混乱していた雄一は、みかげに伝えられなかったのです。, みかげは雄一の家に行き、以前のように彼と話します。唯一の肉親だった祖母を亡くして、「これ以上の不幸はない」と思っていたみかげは、さらなる絶望に突き落とされました。, みかげは落ち込む雄一に、「私なんか、2度目のみなしごよ」と言って笑います。雄一は「君の冗談が聞きたかった」と涙を流しました。, 次の日の夜、みかげはご飯を作りました。サラダ、パイ、シチュー、コロッケ、揚げ出しどうふ、おひたし、すぶた、しゅうまいなど、食べきれないほどの料理を、雄一と2人で食べ尽くしました。, そして雄一は「ずっとここに住みなよ」と言いました。みかげが「女として?友達として?」と問うと、雄一は「わからない」雄と答えました。, みかげが自分にとってどのような存在なのか、自分がこれからどうなるのか、全くわからないのです。雄一は本当の孤独に突き落とされた事実に混乱していました。, 一晩雄一の家に泊まったみかげは、今後のことを考えます。雄一となんとも言えない関係を築くみかげは、雄一のためにも去るべきかもしれないと考えていたのです。, そんな時、仕事先の料理研究家から「伊豆出張に付き添いで来て欲しい」と依頼されます。ゆっくり考えるのに良い機会だと思ったみかげは、3泊4日の伊豆出張を快く引き受けました。, そんな時、みかげの仕事先に、雄一に想いを寄せる雄一の大学の女の子がやってきました。そしてみかげに、雄一との同棲を解消するように強く言います。, 好き勝手に言う彼女に、みかげは「それ以上言うなら、泣いて包丁で刺したりしますけどよろしいですか」と冷ややかに言いました。, みかげが伊豆へ向かうために準備をしていると、えり子の元仕事仲間のちかから電話がかかってきました。話があるので、外に出てきて欲しいとのことです。, そこでちかは、雄一の異変について話しました。決して弱みを見せない雄一が、「そのまま消えちゃいそうに元気がなかった」のだそうです。そして、1人でどこかに行こうとしているのだと言います。, それを聞いたみかげは、雄一が自分を含めたすべてのものから逃避しようとしているのだと悟りました。そして、当分帰らないかもしれないと思いました。, えり子の死は、雄一の心をひどく混乱させたのです。ちかは、雄一が泊まっている宿の地図と電話番号のメモをくれました。, 出張中、昼の仕事で疲れたみかげは、深夜の伊豆を歩きます。そして、お腹を空かせて入ったご飯屋さんで、カツ丼を食べました。みかげは、「雄一がここにいたら」とふと思います。みかげはタクシーに乗り、ちかのメモを頼りに雄一のいる宿に向かいました。, そして雄一と再会して、「とりあえず食べて」とカツ丼を渡します。ささやかな会話をし、みかげは2人の間に今までのような明るい雰囲気が戻ってきたのを感じました。, みかげは数十分滞在しただけで、すぐに伊豆に逆戻りしました。そして伊豆での仕事の最終日、雄一から電話がかかってきます。「どこからかけてるの?」みかげは問います。「東京」と雄一は答えました。, 雄一は逃げることをやめて、東京に戻ったのです。みかげと雄一は、電話を通していつも通りの楽しげな会話をしました。, 初めて『キッチン』を読んだ時、衝撃を受けました。だ・である体の文章に、です・ます体の文章が組み込まれているのです。, これまで作家たちは、一人称で書いたり、三人称で書いたり、日記や手紙風に書いたり、話し言葉で書いたり、新しい文体を見つけるためにさまざまな小説を書いてきました。これもその実験の一環なのだと一目見て感じました。, 一瞬、おや?と違和感を覚えたのは、小学生の頃「です・ますとだ・であるを混ぜてはいけない」と教わったからです。それが正しいと思い込まされた私は、最初変な文章だと感じました。, でも、見慣れなくてとても不思議だからこそ、かえって病みつきになってしまうのです。この小説は、未来のみかげが過去を振り返ってだ・である体で語られます。, ところが突然です・ます体になるので、ふいにみかげに語りかけられているような気がして、はっとします。, そのことによって、「自分がみかげの過去をなぞっているだけの傍観者」ではなく、彼女から直接話を聞いているような感覚になり、みかげと一緒に彼女の過去を見ている気分になります。, 私はことあるごとに「うそでしたけどね」というフレーズを思い出してしまいます。ここまできて、私は完全に彼女の文章の虜になったのだと感じました。, です・ます体とだ・である体を混ぜるのは非常に画期的で面白い試みだと感じましたし、より一層彼女の文章に触れてみたいと思いました。, また、使う言葉が独特だと感じました。「ソファを使っていいよ」と言った雄一に、みかげは「かたじけない」と言いました。普通、うら若き女子大生が、江戸時代の武士のような言葉遣いをするでしょうか?, 言葉と言葉を発した主のギャップが激しくて、ここを読んだ時おもわず笑ってしまいました。内容がどうこうというより、彼女の書き方の魅力に気づけた作品です。, みかげと雄一の関係は、友人でも、恋人でも、家族でもなく、「みかげと雄一」なのだと思いました。それを中途半端な関係だとして壊そうとするのが雄一に恋する女の子で、逆に進展させて恋人の枠に収めようとするのがちかです。, 「美味しいものを食べた時に、思い浮かんだ人は大切な人だ」という話を聞いたことがあります。みかげは、カツ丼を食べて雄一に食べさせたいと思いました。みかげにとって、雄一は「大切な人」なのです。, 先ほど私は、2人の関係は友人でも、恋人でも、家族でもないと言いました。しかし、枠にはめこまれない関係という点においては、もしかしたら友人でもあり、恋人でもあり、家族でもあるという言い方もできるのかもしれません。, なんでもかんでも言葉にしなくても、曖昧なままでもいいのだと感じました。雄一にとってのえり子も、同居人であり、母であり、父でした。, 愛に色々な形があるように、人間関係にも色々なあり方があるのだと思います。それを部外者が否定することはできません。, 『キッチン』の論文は、以下のリンクから確認できます。表示されている論文の情報を開いた後、「機関リポジトリ」「DOI」「J-STAGE」と書かれているボタンをクリックすると論文にアクセスできます。, タイトルから分かるように、この小説で食べ物は重要な役割を果たしています。みかげはえり子に卵がゆを作って彼女の胃袋を掴みましたし、雄一と心を通わすシーンには必ず食事が描かれています。カツ丼も重要な役割を果たしています。, 一方で、家族の在り方を問う小説としても読むことができると思いました。田辺家とみかげは、みかげの祖母を通して知り合った赤の他人です。, しかし、雄一とえり子はみかげを変に客扱いするわけでなく、ごく自然に受け入れました。えり子はみかげのことを「私の娘」と言う場面がありましたし、雄一はみかげを家族だと認識しています。血のつながりだけが家族じゃないと再認識できた、暖かな小説です。, 次回のコメントで使用するためブラウザーに自分の名前、メールアドレス、サイトを保存する。, 本が大好きな女子大生です。 図書館にこもって貪るように絵本を読んだ幼稚園児時代、学校の図書室の本を全制覇することを目標にした小学生時代を過ごし、立派な本の虫になりました。, https://jun-bungaku.jp/wp-content/uploads/2020/06/png_file-2-e1593522396847.png, 冒頭の一文が非常に有名な短編です。その一文がきっかけで、横光利一の属する同人(自費で雑誌を出版するグループ)は新感覚派と呼ばれるようになりま …, 『金閣寺』は、1950年に実際に起きた金閣寺放火事件が題材となっている作品です。犯人の人物像や動機に対して、三島が自身の見解を絡めて書きまし …, 賢治がセロを弾いた経験が元になっている『セロ弾きのゴーシュ』。セロは、弦楽器のチェロのことです。 今回は、宮沢賢治『セロ弾きのゴーシュ …, 芥川龍之介は、古典を題材にした作品を書くことが多い作家です(『羅生門』『鼻』など)。『地獄変』は、説話集『宇治拾遺物語』の「絵仏師良秀」とい …, 『歯車』は、死の暗号や暗く不可解な雰囲気に包まれた不気味な小説です。 今回は、芥川龍之介『歯車』のあらすじと内容解説、感想をご紹介しま …, 『風花(かざはな)』は、主人公が夫に浮気されてからの2年間の出来事がつづられている物語です。 今回は、川上弘美『風花』のあらすじと内容 ….

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